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東京地方裁判所 昭和59年(特わ)686号 判決 1984年6月07日

裁判所書記官

中里功治

本籍

東京都北区中十條二丁目一二番地

住居

同都世田谷区池尻三丁目五番三二号 稲門荘

会社役員

大場政弘

昭和三年五月四日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官上田勇夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

一  被告人を懲役一年及び罰金一六〇〇万円に処する。

二  右罰金を完納できないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

三  この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都豊島区池袋一丁目六二二番地藤ビル内に事業所を設け、「三喜聯合商会」及び「エステー商会」の名称で自動車用のアクセサリーテープ等貼付用印刷物の製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、収入の一部を除外する方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和五五年分の実際総所得金額が四九、七二六、二九五円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五六年三月一六日、東京都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号所在の旧住所地の所轄武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額が五、五〇〇、〇〇〇円でこれに対する所得税額が七四〇、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(昭和五九年押第六八〇号の一)を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二四、三三八、九〇〇円と右申告税額との差額二三、五九八、五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ、

第二、昭和五六年分の実際総所得金額が四〇、三三〇、〇三六円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五七年三月一五日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同五六年分の総所得金額が六、〇〇〇、〇〇〇円でこれに対する所得税額が七六七、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の二)を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一八、〇七二、二〇〇円と右申告税額との差額一七、三〇五、〇〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ、

第三、昭和五七年分の実際総所得金額が四六、三七八、七〇四円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったにかかわらず、同五八年三月一五日、前記武蔵野税務署において、同税務署長に対し、同五七年分の総所得金額が七、〇〇〇、〇〇〇円でこれに対する所得税額が一、〇二六、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の三)を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額二一、五三六、八〇〇円と右申告税額との差額二〇、五一〇、二〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  被告人の収税官吏に対する質問てん末書

一  及川幸二(二通)、手塚敏子の検察官に対する各供述調書

判示各事実ことに過少申告及び別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の公表金額につき

一  押収してある所得税確定申告書三袋(昭和五九年押第六八〇号の一ないし三)

判示各事実ことに別紙(一)ないし(三)修正損益計算書の当期増減金額欄記載の内容につき

一  検察官作成の捜査報告書

一  収税官吏作成の次の各調査書

1  売上調査書

2  期首たな卸高調査書

3  材料仕入調査書

4  外注加工費調査書

5  期末たな卸高調査書

6  租税公課調査書

7  荷造運賃調査書

8  水道光熱費調査書

9  交通費調査書

10  通信費調査書

11  広告宣伝費調査書

12  接待交際費調査書

13  修繕費調査書

14  消耗品費調査書

15  福利厚生費調査書

16  事務用品費調査書

17  ガソリン代調査書

18  減価償却費調査書

19  給料賃金調査書

20  地代家賃調査書

21  貸倒金調査書

22  繰延資産償却費調査書

23  雑収入調査書

24  譲渡収入調査書

25  譲渡経費調査書

26  給付補てん金調査書

(法令の適用)

一  罰条

判示第一の所為につき、行為時において昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一、二項、裁判時において改正後の所得税法二三八条一、二項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)、判示第二、第三の各所為につき、所得税法二三八条一、二項

二  刑種の選択

いずれも懲役刑及び罰金刑の併科

三  併合罪の処理

刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(刑及び犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

四  労役場留置

刑法一八条

五  刑の執行猶予

刑法二五条一項

(求刑 懲役一年及び罰金一七〇〇万円)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 羽渕清司)

別紙(一) 修正損益計算書

大場政弘

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

<省略>

別紙(二) 修正損益計算書

大場政弘

自 昭和56年1月1日

至 昭和56年12月31日

<省略>

別紙(三) 修正損益計算書

大場政弘

自 昭和57年1月1日

至 昭和57年12月31日

<省略>

別紙(四) 税額計算書

<省略>

※ (1) 48,583,000×65%-7,240,000=24,338,950

(2) 38,857,000×60%-5,240,000=18,074,200

(3) 44,272,000×65%-7,240,000=21,536,800

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